2011年5月7日土曜日

人?あきた:着物リメーク 佐藤敏恵さん /秋?

 ◇楽しみながら生かす
 「死んだ母を思い出すわ」「昔、こういう着物があったね」。着物のリメーク作品が並ぶ「バザールT」は、女性たちの憩いの場所だ。
 幼少のころから、祖母や母が着物をほどき洋服にして着ていたのを見ていた。「布地が売られているのに、何でそんなめんどくさいことをするんだろう」。物を大切にする姿勢も、よく理解できなかった。高校卒業後、母親に「ボタン付けくらいできないと恥ずかしい」と言われ、服飾の専門学校へ。そこで洋裁、和裁を2年ずつ習ったが、「裁縫は特に興味がなかった」と笑う。その後は事務職として働いたが、「ごく普通のOL。ブランド品を追い求め、既製品ばかりに目が行っていた」と振り返る。「服飾を学んでいたはずが、すそ上げすら店で頼むほどだった」。それほど裁縫とはかけ離れた生活を送っていた。
 40歳を過ぎて仕事を辞めた。「趣味もない。将来のためにも自分探しをしよう」と東京へ向かった。そのとき偶然デパートの催事場で出合ったのが「着物のリメーク」だった。「着物がこうなるの」。目の前に並ぶマフラーやテディベアに驚いた。学生時代にはなかった着物のリサイクルが当たり前のように行われ、値段も安い。見たことのない生地や柄に感動し、すっかり着物に魅了された。
 秋田に戻ると、捨てられなかった亡き祖母の着物で敷物や小袋を作った。「楽しみながらやらなきゃ」。与えられた仕事をこなすのが精いっぱいだった時代とは対照的に、自分のセンスで思うがまま作品を作ることに夢中になった。
 「こういった作品は初めて」とよく声をかけられたが、着物のリメークは当時の秋田では未知の領域だった。
 身につけるものは人に伝わりやすいと洋服も作る。「着物を洋服にするなんて考えられない」「帯は切るものじゃない」と批判の声も聞こえてきたが、「着られるものは着てほしい」と考える。リメークは、眠っている着物を生かすためにある。よみがえった「着物」を着た人が、「すてき」と褒められ喜ぶ姿を見ることは、何物にも代え難い。【加藤沙波】
………………………………………………………………………………………………………
 ■人物略歴
 ◇さとう?としえ
 秋田市出身。「Bazar(バザール)T」代表。仕入れのために東京に行くことが仕事でもあり、楽しみでもある。16日から4日間、アトリオン3階で展示即売会を行う。「若い人もぜひ見に来てほしい」。54歳。

12月6日朝刊

【関連記事】
雑記帳:ゾウの像に手編みのマフラー…北海道?幕別
初氷:札幌で平年より13日遅く観測
冬型気圧配置:近畿で木枯らし1号 東京都心は13.8度
華ある装い、米で開眼??公立はこだて未来大教授?美馬のゆりさん
ふくおかビート:流行の怪獣ファッション アニマルフード/ブーツカバー


引用元:Perfect World rmt

0 件のコメント:

コメントを投稿